ひみつノート

とりとめのないただの日記です。

白い巨塔(ドラマ)を観た

ちょうど、体調を崩して大学病院にかかることになっているのに、大学病院が祝日とかお盆休みで診てくれず、治療もなく2週間放置という最悪のタイミングで再放送を観たのにどハマりしてしまった。

白い巨塔は何回か観たことがあったので知っているけれども、大学病院の常識離れしたひどい部分をだいぶ脚色して描かれた物語だ。(脚色じゃなくて本当にあれぐらい酷いこともあるのかもしれないけど)

なので、体調が悪いのに大学病院に放置されている身としては最初観るのがつらく、観ながら自分の病気に対して悲観してしまったりもした。


けれども、演出の凄さ、教授陣の演技のふてぶてしさ、財前のカリスマ性と傍若無人ぶり、どこをとっても面白くて途中から夢中で観てしまった。財前はあんな大変な思いをして教授になったのに、なった瞬間から自業自得で患者を死なせ泥沼裁判になっていく。

そこもなんとか乗り越えたと思ったら裁判は覆され、不死の病に侵される財前。彼の人生は何だったのか。


当時リアルタイムで放送していた時は私も19歳くらいだったので、何を犠牲にしても出世したいという財前のギラつきが魅力的だった。反面、里見先生の融通のきかなさが理解出来ず、真面目すぎて嫌だと思っていた。あと東教授の娘さえこも、いけすかないと思っていた。

けれども年齢を重ねて改めて観ると、里見先生は融通はきかないんだけど本当に良い先生だ。大学病院に全く向いてないけどあんな先生に診てもらえたらどんなに良いだろうと思った。お嬢様すぎていけすかなかったさえこも、今観るととても良い子である。父である東教授にかける言葉の一つ一つに信念があって芯が強い。あのお母さんに育てられたと思えない。


あとはなんと言っても、このドラマ版白い巨塔は石塚浩二さんの演技が素晴らしい。東教授がなぜあんなに財前を毛嫌いしているのかはなんとなくしか分からないんだけれども、彼の葛藤、人間の小ささ、周りの人に見くびられて悔しさがダダ漏れしているところなど本当に圧巻である。

特に、東都大の船尾教授に教授選の票集めのことで揶揄されたあと、自宅の植木にコートが引っかかってしまったという、それだけの些細なことがきっかけになって感情が爆発し、暴れて植木をぐちゃぐちゃにしてしまうシーンが私はとても好きだ。


飽きさせない展開と演出で、好きなシーンも好きなキャラクターも多い2003年版白い巨塔だが、自分がもっと歳をとってこのドラマを観た時、一体どういう感情になるのだろうということが気になった。

もしあと10年、20年経って、自分が病気の当事者となった場合、このドラマを同じように楽しめるのだろうか。それともそれはそれでまた新たな発見があるのだろうか。

今も私は持病が悪化して元気がないけど、直接命に関わるようなものではないから医療もののドラマを観れているだけだ。もし自分が大きな病気になったら、感情移入しすぎてしまってもうこのドラマは観れないかもしれない。


ただ、医学はどんどん発展しているので、その頃の大学病院はもっと過ごしやすくなっているかもしれない。けれども、どうしても医者のシフトが優先で治療が後回しになってしまう現状を考えると、やはり大学病院への怖さも感じてしまうのだ。