ひみつノート

とりとめのないただの日記です。

雨のゴールデンウィーク

ゴールデンウィークは実家に帰っていた。祖母のいない実家。

いつもは、あの廊下の向こうから祖母が歩いてくるのにな。と思うと淋しさが止まらない。

 

今はただの入院で、手術が無事終われば帰ってくる見通しもあるのでいいのだが、人はいつか必ずいなくなってしまう日は来るのだということを考えた。祖母も両親も、いつか必ずいなくなってしまう日は来るのだ。そうしたら、この家はどうなってしまうのだろう。

今は3人しか住んでいないこの実家。3人でも広い。そもそも我が家は昔は7人家族だったのだ。曽祖父が生きていた頃は最高で8人家族だった時もあった。8人がなんとか暮らせるぐらいの広さの家なのに。みんないなくなってしまったら、誰かが1人でこの家に住むという時期も来てしまうのかもしれない。1人には絶対に広すぎる。

 

そんな事を考えたその日は雨だった。

田舎に降る雨はきれいだ。車が走る音や騒音は全く聞こえず、田畑に雨が降るさーっという音だけが聞こえる。

雨が降る前にはちゃんと蛙が鳴く。雨の降る音だけが聞こえる世界で、田畑にさらさらと降り続く雨。ちょっと町に住むとすぐ忘れてしまう田舎の美しさ。

ここで暮らしていた10代の頃には思わなかったこと。こんなにきれいに雨が降っても、カッパ着て自転車で学校に行くのしんどいなとしか思っていなかったと思う。田舎で住むのは苦しいこともある。けれど田舎に住まないと分からない田舎の美しさがある。でも私は多分もうすぐここを離れる。何かを手に入れるには何かを捨てないといけないと、以前先輩に言われたことがあった。生きていくためには、全てを手にしてやっていくことなんて出来ないんだなぁということを、しみじみ考えた。