ひみつノート

とりとめのないただの日記です。

今年2回目の海

唐突に海が見たくなった。海が見たくなる気持ちはいつも唐突にやってくる。

この前に海を見たのは6月中旬だった。夏前の、まだ完全に暑くなる直前の、天候が悪化するちょっと前の、キレイに晴れた午後だった。空が真っ青だったので海も真っ青になって、境目が分からないくらい一面青い景色がとても美しく、強く印象に残っていた。

今回思い立ったのは、まだかろうじて夏の残りがあるうちに行かないと、もう冬になると灰色の海しか見られなくなるんじゃないかと思って行ったのだ。

 

前回海に行ったコースが良かったので、また同じコースを辿ろうと思ってまずうどん屋に行った。そこのうどん屋の鯖寿司がどうしても食べたくて、前回食べたのと同じメニューにしたのだが、以前よりも胃腸の調子が良くなく、しかも少食になっていたためか同じメニューなのに食べ終わったあとだいぶ苦しかった。

なんとか全て食べきって、Googleマップを見ながら海に向かった。私は方向オンチなので、何度も行ったことのある場所でも毎回地図を見ないと迷ってしまう。Googleマップで高速に乗らず下道で行くルートを選んだのだが、なんというか、ものすごく、ものすごく細い、絶対に対向車とすれ違えない、ちょっとでも左に逸れると海に落ち、右に逸れると山にぶつかる、というようなルートを表示されてしまい、もうこのまま海に落ちて一生帰れないんじゃないかと思うような気持ちになりながら延々と細い道を走った。怖かった。方向オンチな私も悪いけれど、Googleマップって一体なんなのだろう。以前一度潜水橋という、川の水が増水したら川に沈んでしまう、細くてガードレールもない、地元の猛者しか渡らない橋をGoogleマップに渡らされそうになったことがあった。Googleマップの人もこんな田舎の道事情まで面倒見きれないのだろう。自分の身は自分で守らないといけない。Googleマップに頼りっぱなしではいけない。

 

なんとかその細すぎる道を抜けて海岸通りに出た。3ヶ月ぶりの海は綺麗すぎるくらい綺麗だった。一度飽きるまで海を眺めてくらしてみたいと思いながら、海岸通りを抜けて山に入り、展望台を目指して山道を登った。

山の上の公園には、見事に県外ナンバーの車ばかり停っていた。コロナになってひしひしと思うのは、普段誰も来ないような田舎なのに、緊急事態宣言がかろうじて出てない地域だからとこのコロナ禍に、コロナ禍だからこそ都会の人がやってくるのだ。田舎の人間からしたら本当になんとも言えない気持ちになる。もちろん私は県外の人に対して嫌がらせはしないけれど、嫌がらせをする人に対しても、それだけコロナは人の心を追い詰めてしまうのだなと思う。

 

できるだけお客さんが来て、その人たちがきちんと感染対策をして、コロナが広まらないというのなら、それが一番いいのだ。

そう思いながら展望台に行くと、なんと工事中で入れなかった。

なんだか私全然ツイていないのかな!?と思ったが、ツイてないと自分で言うのは絶対にダメだと以前知人に言われたので口には出さない。展望台の手前で、海をぼんやり見て、人が増えてきたので帰った。

 

美しい景色の中で、私はそれをただ見ることしかできないのが本当にもどかしい。その中に入り込んで、取り込まれて一体化してしまいたいという気持ちになる。けれどそんなことは出来ないので、無力感でいっぱいになる。満たされているのか満たされていないのか分からないなと思いながら、来た道とは別の道を通ってのんびりと家に帰った。