ひみつノート

とりとめのないただの日記です。

最近読んだ本 2021年 11月

1ヶ月早い。

 

1Q84 book2

村上春樹

え、ちょっと、面白いんですけど。というのが率直な感想だった。すごい。これ冒険小説なんだな。そもそも主人公2人にちゃんと名前があるし、村上春樹作品で女性目線で語られる物語も珍しいし、リアルとファンタジーの割合の絶妙さ、天吾と青豆の2人の世界の交差のさせ方、うまいですよね。全部面白い。難解で観念的だけど村上春樹だから一応読んどくか、みたいな感想になる本かと思っていたので驚きました。村上春樹のまだ読んだことの無い作品を楽しく読めることも贅沢だし。面白いコンテンツを生み出し続けてくれて本当にありがたいことです。

 

エレンディラ

G・ガルシア=マルケス

なんと私は少し前に「百年の孤独」を読破したのだけれども、評判通り同じ名前の人が多すぎて誰が誰か分からないし、改行がないのですぐ主語を見失って大変だった。それに比べるとこの短編集は読みやすかった。年老いたボロボロの天使が出てきたり、海からバラの香りが漂ってきたり、なんて素敵なファンタジー・・・と思っていたら、あとがきで、ラテンアメリカでは幻想的な光景が現実にあったりするのであながち全てがフィクションではないということが書かれていた。世界は広すぎる。元々この物語を知ったきっかけがやなぎみわさんの作品からだったので読めて良かったし、ラストに行けば行くほど私はエレンディラのことが好きになってしまった。

 

すべて忘れてしまうから

燃え殻

この燃え殻という人の書く文章のさみしさが好きで、読めるものは読むようにしている。おそらくこの本に書かれたほとんどの内容が実際に起こったことで、それをさらけ出せるのがすごいし、この方のTwitterを見ていても、そこまでさらけ出して大丈夫!?誰のことを言ってるのかすぐ分かるんじゃないの!?とドキドキする。私は自分が自分のことを人に話すのもあまり得意ではないし、こんな風に一つ一つのエピソードをちょうどいい味付けにして世に出せるのがすごいことだと思う。これからも書き続けて欲しいと思っています。

 

夏物語

川上未映子

川上未映子さんの書く力はすごい。この人は本当はそんなところ気にしなくたって幸せに生きていけるだろうに。というところをいつも掘り下げて掘り下げて書かれるので、こんなの、書いているほうもズタボロになっているんじゃないかと思いながら読んだ。私自身子どもを産むことを肯定的に考えられたことはあまり無い。この物語に出てくる人で言えば、生い立ちは全く違うが善由里子さんの考えに一番近いくらいなのだ。けれど自分にもタイムリミットは迫っており、おそらくパートナーが欲しがれば頑なに拒むほどの理由もなく今後妊活をしていくのではないかと思っていて、それは常に恐怖と隣り合わせで、でもこの夏子さんが、実在しない人なのにこんなに生々しく、子どもを欲しがるというのはどういうことなのかを私に見せてくれて、考え方がガラッと変わったなんてことはないけれど本当に少しだけ、気持ちが明るくなった気がした。フィクションなのに全然フィクションだと思えないくらいの迫力だった。物語の中で、緑子がずっと勇気をくれる存在だった。