ひみつノート

とりとめのないただの日記です。

最近読んだ本 2021年 7月

雪国

川端康成

雪国は好きで何年かに1度読みたくなって読んでいる。出だしがとにかく有名なこの物語は、3ページ目で突然男女の情愛を表す表現が出てきて、初めて読んだ時それはそれはびっくりしたものだった。けれど書評などでよく言われているように、決定的なことは何も書かれていないのだ。男女のあれこれを微に入り細に入り書いている小説もあるけれど、精神的に疲れている時なんかは私はどうもそういった描写が読めなくなってしまうので、このくらい上手に書かずに書く、をやってくれるとありがたい。いつ読んでも駒子が可愛く魅力的だと思った。

 

赤い長靴

江國香織

私が読んだ限りではだけれども、江國香織さんは本当に結婚を良いふうに書かない。大概の夫たちは悪びれもせず不倫しているし、不倫していない夫はでくの坊のように書かれている。その中でもこれに出てくる逍三は人とろくに会話が出来ないというか、読んでいて心配になるくらいコミュニケーションがとれていないのだが、不思議とここの夫婦はこれでいいというか、結婚生活を経てそれが良くなってしまっているというか、まあ、この2人がそれで良いならそれで良いか。となってしまう不思議な作品。私も結婚したら気持ちが分かるのかな。

 

夜行秘密

カツセマサヒコ

これは、かつて起こりえたかもしれなかったことで、現代を生きているといつか起こるかもしれない出来事だという気持ちになった。SNSでの誹謗中傷が、どれだけ人を追い詰めているかなんて分からないし、追い詰めている人達は考えもしていないのだ。この本を読んでいる最中も、何人もの人がネットでボロボロに叩かれていた。確かに許されないことをした人は大勢いる。けれど、例えばその人たちの家族や周りの人まで叩き出すと、それはもういじめと同じである。我々はなぜそれが分からないのだろう。カツセさんは何を思いながらこの物語を書いたのだろう。

 

学校の青空

角田光代

この短編集に出てくる「学校ごっこ」という物語がめちゃくちゃ怖くて、途中でもう私は読めなくなってしまった。たかが小説なのである。なのに、すぐ近くで起こっているかのような怖さとリアルさがあって、それはもう角田光代という人がとにかく上手いということに尽きるのだけれども、でも今思い出しても怖いし、紙の本で持っていたら売ってしまいたいくらい手元に置きたくない!と思ってしまった。電子書籍で買ってしまったので売れないんですが。こんな教師が現実にいないことを祈りたい。